2012年4月29日日曜日

人格障害(パーソナリティ障害) : Mental


人格障害(パーソナリティ障害)

人格(パーソナリティ)障害とは

■境界性人格障害
(境界性パーソナリティ障害)


境界性人格障害の人の多くが、愛する人や大事な人に見捨てられるという不安を絶えず抱えています。

人間は誰でも多かれ少なかれ、愛する人や大事な人に見捨てられるという不安を抱いていますが、境界性人格障害の人の場合は、見捨てられ不安の感情が非常に強く、周囲の人には理解できないほどです。

この見捨てられ不安は、寂しさ(孤独感)や、不安感、怒りの感情のように、心の奥深くから湧き上がってくるものであるといいます。

常にある寂しさや、怒り。
空しさや絶望感からくる落ち込んだ気持ち。

一人という孤立感やどうでもいいという自暴自棄の感情などは、この見捨てられ不安が原因です。

この見捨てられ不安が、常に付きまとっているので、繰り返し繰り返し、寂しさや、怒り、 空しさ、絶望感、孤立感、自暴自棄の感情が襲います。

このような状態では、安定した人間関係を結ぶことなどできません。

いったん相手を信頼できると思いこむと、今度は見捨てられないようにしがみつこうとします。

相手が困り果て境界性人格障害の人を避けようとすると、今度は一転して、激しい怒りをぶつけたり、引き止めるために自殺しようとさえします。

このように境界性人格障害の人の周囲にいる人たちは、不安定で衝動的な人間関係の渦の中に引き込まれていくのです。

◆境界性人格障害の特徴

境界性人格障害は若い女性に多く、人口の約2%に見られる心の病気です。

人格障害の中で、境界性人格障害が、最も患者数が多く最近増加傾向が見られます。

● 自分が何者なのかよくわからない
● 自分の生き方がわからない
● 現実を理解する能力が貧弱
● いつも場違いな所にいるように感ずる
● 一見、周囲にうまく適応して見えることもある
● 自分のすべてを受け入れてもらいたいと望んでいる
● 愛し方が不十分であるという理由で相手を責めたてる
● 見捨てられる不安が強い
● 自分と他人との境界があいまい
● 自己像が良い自分と悪い自分の二つに分裂する
● 他者を過大に評価し理想視していたかと思うと、急にこきおろしたり激しい攻撃性を向けたりする
● 自分の思うままに操ろうとして、他者と安定した関係が保てない
● 感情の移り変わりが早く、人間関係が不安定
● 人生の価値観や目標が突然変わったりする
● 他人の欺瞞を鋭く見抜いて非難する
● 二者関係にしがみつく
● 虚言が多い
● キレやすい
● 仕事に不満を持ちやすく転職を繰り返す
● 自殺未遂を繰り返す
● アル中、浪費癖、過食、淫乱、ギャンブル狂、暴走行為、薬物中毒
● 行きずりのSE○を繰り返す


◆境界性人格障害の症状

境界性人格障害では、感情のコントロールに問題が生じるため、感情面が極端に不安定になるとともに、以下のような症状がみられます。

● 気分が物事に簡単に左右されてしまう
● 感情を爆発させやすい
● 慢性的な空虚感を感じる
● 一人きりになることに耐えられない
● 衝動的に飲酒、大食、買い物などをしやすい
● 自己イメージが混乱する
● 他者を良い・悪いの両極端で評価し、評価自体も簡単に反転してしまう
● 現実認識が低下する
● リストカットなどの自傷行為をする
● 自殺をほのめかす

上記のような症状が出ると、人間関係にトラブルが絶えなくなり、家庭や仕事面でも深刻な問題が生じてしまいます。

境界性人格障害になると、感情や意志のコントロ-ル力に問題が生じてしまうため、簡単に怒りを爆発させたり、衝動的に何かをしてしまいやすくなります。

精神科(神経科)で、できるだけ早期に治療を開始することが望ましいです。

● 良い自分と悪い自分

境界性人格障害の人は、良い自分と悪い自分を分けています。

良い自分は、多くの人達に愛される人間であり、
悪い自分は、 多くの人たちに見捨てられる人間

というように、本人の中では完全に分裂しているのです。

自分には、良い面と悪い面があるというようには受け取ることができず、 良い自分だけで生きようとします。

両親や周囲の人間の期待を裏切らないためにも、おとなしい良い子でいようと必死に努力します。
悪いところを持った自分を周囲の人が、愛してくれるとは決して考えません。


眼振、回転眼球運動

「良い子でなくては、愛されない。良い子でなくては、見捨てられる。」
との思いから、良い自分であり続けようとします。

しかし、良い子であり続けることはできません。
人間は、誰でも、悪い部分を持っているのですから。

人間関係が複雑になる思春期頃になると、良い子であり続けることがだんだんと困難になってきます。
それでも良い子であり続けようとする境界性人格障害の人は、自分の悪い部分を切り離し、不都合な点は他人に押し付けることによって、問題を乗り切ろうとします。

悪い部分を完全に切り離している境界性人格障害の人は、その部分を他人に指摘されても理解することはできません。
なぜなら、悪い部分を持った自分など存在しないのですから・・・。

境界性人格障害の人に悪い部分の指摘を続けることは、結局のところ激しい言い争いを招くことになり、
「悪いのは、自分ではなく、あの人のせいだ」
というように、自分自身の悪い部分を他人に転換し、この意見を相手が受け入れるまで爆発的な感情は収まりません。

境界性人格障害の人にとって悪い人は、自分自身の悪い部分を持った人間である訳ですから、到底受け入れることなどできません。

その結果、悪い自分から逃げる(悪い自分を切り離す)ためにも、その人に対する攻撃が始まります。

不安定な感情を持つ境界性人格障害の人にとって、悪い人がいつの間にか良い人になっている場合も多々あり、その逆の場合もあります。

1日に態度が何度も移り変わるので、家族や周りの人間にとっては、戸惑いとなすすべの無さだけが残ることになります。

大好きな人が半日後には大嫌いな人になるという、不安定な状態が続くうちに、心の中は不安や孤独感・空しさで 覆い尽くされ、
この苦しみから逃れるかのように家庭内暴力や自殺未遂、 万引きや性的な逸脱行為を繰り返す人もいます。

● 人を操る(対人操作)

境界性人格障害の人は、相談の名人です。
いつも悩みを抱え、寂しげで、頼りがない境界性人格障害の人は、 信頼できると判断した人に必死に相談します。

相談を受けた人は、
「この人を助けることができるのは、 自分だけだ。」
との感情に支配されます。

また、この悩みを打ち明けるのはあなただけだと言いながら他人を激しく批判します。

悩みを聞く者は、いつの間にか境界性人格障害の人に否定的な人を批判的な目で見ることになります。
このため、境界性人格障害の人に否定的な人との間にいつの間にか争いが起こります。

境界性人格障害の人には、人を操っているというような自覚はありません。

自分自身が分からないことで苦しんでいる境界性人格障害の人にとって、自分と同じ意見を持ってくれる人の存在は、それだけで安心を覚えることになります。

逆に、自分の意見を否定する人は不安を増大させる存在なのです。

このように、境界性人格障害の人の人間関係のあり方が必然的に争いを引き起こさせるのです。

● 自分で自分が分からない

境界性人格障害の人は、自分で自分が分からない状態にいます。
自分が何を求め、何をしたいのか分からないと言う人が多くいます。

「なぜ、万引きしたのか、なぜ、あのような激しい性的逸脱行為に没頭していたのか分からない」
と言いながらも、自分が望んでいるものが あやふやで理解できないため、そのような行為から抜け出すことができない状態にいる人が多々います。

自分で自分が理解できない、分からない。
何を望んでいるのか、何がしたいのか分からない。

境界性人格障害の人は、このような苦しみの中で日々の生活を過ごしています。

● 家族や友人としての関わり方

境界性人格障害の人と関わる事は、大変なエネルギーを要します。

専門家である精神科医や臨床心理士ですら、「転移」や「逆転移」といったお互いの気持ちに振り回される問題により、治療に失敗してしまうケースが多く見られます。

ましてや家族や友人など、専門家以外の人が、境界性人格障害の人と関わるとき、いとも簡単に振り回されてしまい大変な思いをすることが多いことでしょう。

【関わり方のポイント】

● 相手の考えや行動について冷静に考え、感情的にならないようにする


高熱発作

境界性人格障害の人は様々な問題行動を起こします。
それらの多くは、ひとつの自己表現であり、あなたに対する「試し」であることが多いのです。
なぜそのような考えや行動を取ったのかを冷静になって考えてみる必要があります。
そして、境界性人格障害の人を変えようとするのではなく、障害を理解することが大切です。
そこから解決の糸口が見つかってくる可能性があります。

● 一人で悩まず、専門家などから情報を得る

振り回されて疲れきっている家族や親しい友人もサポートが必要だと思います。
自分のことを大切にしてください。
自分を犠牲にしてまで無理を重ねてしまっては両者共倒れになってしまいます。
専門家のサポートを受けることが大切でしょう。

● 相手の話をじっくりと聴く

相手の話をじっくりと聴きます。
その際、相手に対して価値観を押し付けず、たとえ間違ったことを言ったとしても、否定的に伝えるのではなく、肯定的な言い方をしてみるとよいでしょう。

● 支えすぎず、距離を置いた接し方をする

信頼できる相手を見つけると、二者関係を求め排他的になり、べったりと依存してくることがあります。
あなたに対する要求や行動がエスカレートしてきてそれに応じられなくなると、とたんに爆発することになります。
サポートをする場合は、ある程度条件を提示して必要以上に支えないようにすること(親密な他人という表現があります)が大切です。

● 怒りが爆発したときは、避難する

時として怒りが爆発することがあります。
生命の安全すら脅かされることもあるかもしれません。
このような時はいわゆる「切れた」状態なので、話し合いによる解決はかえって火に油を注ぐことになりがちです。

対処としては、相手に対して冷静でない状態であることを告げます。
そして、相手の気持ちを理解しているがこのような状況では自分も困惑しているので、とりあえず話し合いを中断することを告げます。
しかし、相手が冷静になったら何時でも話し合いを再開することも告げておきます。
こうしてしばらく物理的に距離を取るとともに冷却期間を置くことが大切です。

◆苦痛回避の行動パターン

● 自暴自棄型

親が自分を必要としないのなら望み通りに必要とされない人間になってやる、という心理です。

万引きなどの犯罪行為に走ったり、命を危険にさらすような暴走行為をしたり、自殺未遂を繰り返したりします。
こういう行為の背後には、自分を見捨てようとする親への激しい怒りと絶望が潜んでいます。

あるいは、こういう危険な行為を通して自分は世間から(親から)本当に見捨てられているのだろうかと「試し」ているような面があります。

● 依存強化型

分離不安を回避するために、無差別に相手にしがみついたり、依存したりします。
医学的に言えば「依存性人格障害」ということになります。
また、アダルト・チルドレンの世界で言われている「共依存」というのがこれです。

このタイプには完全に他人の言いなりになる「お人形」タイプと、
逆に他人の世話をするという形で他人にしがみついてゆく「世話焼き女房」タイプのの二つがあります。

「お人形タイプ」

相手の言いなりになっていれば見捨てられる心配がないのですが、社会に出るとそうはいきません。

相手の言うことをそのまま真に受けていると、ときにはひどい目に遭うことがあります。

このタイプは、自分で自分を見捨てて相手の言いなりになることで見捨てられる不安を回避しようとします。

このタイプの人でも、一見自分の主義主張を持っているように見える人もいますが、それはすべて他人からの借り物で、自分の本当の考えというものを持っていません。

「世話焼き女房タイプ」

博愛主義の仮面を被っていることがあります。

困っている人や弱者を必要として、そういう人をどこからか捜し出してきます。
そして、彼らの面倒を看たり相談にのることで自分の見捨てられ感を解決しようとします。

なぜなら、問題を抱えて困っている人は助けてくれそうな人を頼ろうとしますので、依存されることはあっても見捨てられる心配が無いように見えるからです。

そして、こういう人たちの抱えている問題に非常な関心を持つのですが、自分で自分を捨てているため自分自身のことにはほとんど無頓着だったりします。


胸の痛みピンと針

自分の利益になるようなことをするのは罪なことだと考え、ひたすら他人のために尽くします。
企業戦士のように、会社に忠誠を誓い人生を捧げます。

常に組織のため、社会のため、全体のためを考えて行動し、他の人にも同じような行動を求めるため、自分勝手な行動をする人を憎みます。

自分自身に「自分」というものがないために、「自分」を持とうとする他人に対しては「見捨てられる」ような不快感を抱きます。

このような人は、例えばアル中のような問題を抱えた人とペアになることがあります。

「私が手を差し伸べてやらなければ、この人はダメになってしまう」
という思いから回復の手助けをするのですが、相手が回復してしまえば自分が必要とされなくなるという悩ましい問題にぶつかってしまいます。

そこで、境界性人格障害特有の乳幼児期の母子関係が再現されることとなるのです。

自分が相手にしがみついていたいので、相手にも自分にしがみつくように無意識的に誘導してしまうのです。

自立を助ける振りをしながら、逆に自立が失敗する方向へと誘導するのです。

こうして、助ける人と助けられる人の、波乱万丈の甘い依存関係が続いていきます。

また、二人の間に第三者が入ってくると、パートナーを横取りされるではないかという疑いから排他的になってしまい、二人だけの閉鎖的な関係に執着することもあります。

● 自己愛型

見捨てられる惨めさを回避するために、惨めな自分とは正反対の自分を空想してみるのも悪くはありません。

みんなから愛され、みんなの注目を集め、たくさんの人から惜しみない賞賛を浴びるという、そんな白昼夢に耽ることは見捨てられた惨めさを解消してくれるだけではなく、栄光に満ちた輝かしい自分という空想に浸る快感を与えてくれます。

しかし、この空想が現実との区別がつかなくなっていったとき、さまざまな問題を引き起こします。
これが自己愛人格障害です。

境界性人格障害と根が同じと言うか非常に親密な関係にあるため、境界性人格障害と自己愛人格障害はセットで扱われたりします。

● 攻撃型

自分を見捨てようとする親や自分の不安感をもてあそぶ親への憤りが、場合によっては見捨てられる恐怖を上回ることがあります。

いい子の仮面を剥いで、突然暴れ出したりします。

それまで、見捨てられる恐怖感に抑圧されていた分だけ怒りは激しいものとなり、自分でもコントロールができないくらい激烈なものになったりします。

例えば、家庭内暴力などや親を責めたて、親に無限の謝罪を要求したりします。
しかし、子どもは何に対して謝罪を要求しているのか自分では本質を理解していません。
こうなると家庭は戦場のように荒れ果てたものになってしまいます。

これほど激しい怒りではなくても、例えば社会的な不正や不条理に対する怒りといった形で現れたりもします。

他人の心に潜む欺瞞を見抜くことに優れていたりするのですが、攻撃的な面が出てきますと相手に対する配慮がなくズケズケとものを言ったりします。

挑発的であることが多く、治療場面では、医師が患者から感情を逆撫でするようなことを言われたり、医師の治療行為の矛盾を指摘して抗議したりと、実に扱い難いことこの上ないような行動に出ることもあります。

ちょっとしたことが見捨てられることに結びついて、侮辱されたような感じになり、激しい怒りの感情を呼び覚ますからです。

健全な攻撃性というのは、自分の利益 を守るためになされるものですが、境界性人格障害の人の攻撃は、自分で自分を見捨てているために攻撃によって自分がどんなに不利になろうとも、そういうことには全く無頓着だったりします。

例えば恋愛関係などで自分を見捨てようとする恋人に怒りをぶつけたりしますと、それがストーカーのようになる場合もあります。

見捨てられたくなくてまとわりついてゆく一方で、見捨てようとする人への激しい怒りを露わにしたりするのは、乳幼児期の母子関係がそのまま投影されているからでしょう。

● 快楽型

見捨てられるときの恐怖感や屈辱感から逃れる、一番手っ取り早い方法は憂さ晴らしをすることです。

バイクで暴走したり、酒を飲んだり、オナ○ーやSE○に耽ったりして気を紛らわせます。

普段からブルーな気分でいることも多く、些細なことで気が滅入ったり、むしゃくしゃしたりします。
しかも、そういう不快感を我慢できません。


見捨てられる不安と恐怖が強いために、いつも短絡的に解決を求める傾向があります。

健全な人の快楽と違う点は、自分で自分を見捨てている点です。

度を越した飲酒は健康を損ないます。
行きずりのSE○を繰り返すと性病の危険が伴いますし、暴走行為は事故につながります。
ギャンブルにのめり込みすぎると財産を失います。

でも、そんな危険性はどうでもいいのです。
自分を紙切れのように軽く考えているので、自分の安全を守ったり大切にしたりすることがありません。
一見大胆で勇敢な行動のように見えることもありますが、自分に降りかかる危険性が見えていないだけなのです。
そして、彼らは安全圏にいる人たちを馬鹿にします。

快楽型の重症な人は、やがて身を切るような快楽によってしか自分の存在が確認できなくなっていきます。
世話焼き女房タイプの人と出会えればいいのですが、孤独のままでいますと、廃人への入り口が、扉を開けて待っています。

● 引きこもり型

もし、一人きりになったとしたら、もうそれ以上誰からも見捨てられることはありません。
人間関係の中にいて見捨てられたり、裏切られたりする苦痛を味わうよりは、いっそのこと孤独でいた方がいいと考えるタイプです。

人間関係の中で、見捨てられたり裏切られたりする場面に直面しそうになると、そうなる前に自ら身を引いてしまうケースがあります。

そうすれば相手から見捨てられるという苦痛に直面せずにすみますが、人間関係を次々に失っていったり、転職を繰り返したりといった不利益が発生します。

そして、全ての関係から身を引いて、再び新しい理想的な関係を求めます。

自分にとって都合の悪いことがあると、その度に人生のリセットボタンを押すのですが、年齢を重ねるにつれてやり直しのきかないことが多くなってゆきます。

● 理想化型から分裂型

見捨てられる不安のない世界、とことん甘えることのできる世界、自分の全てをありのままに受け入れてくれる世界を夢見ています。

しかし、この世にそんな世界はないのですが、現実を正しく認識できないので、肥大した「一体感への夢」を追い続けることになります。

誰からも愛される人という、ありもしない架空の人物像に憧れたり、理想的な恋人との巡り合わせを願ったりします。

現実をありのままに見ることができないため、例えば、たちの悪いヒモに貢ぐ女のように、相手の男を理想的な男に仕立ててしまいます。
周囲の人が「利用されて捨てられるだけだよ」と注意しても耳を貸しません。

見捨てられる不安の反動として、理想的な関係を求めても、それが現実とずれたものであれば非常に不安定で崩れやすいものとなります。

例えば、理想の恋人だったはずの人が、ある日突然大嫌いな人に変わったりします。

無限に自分を受け入れてくれる人か、あるいは自分を見捨てようとする邪悪な人か、どちらかしかなくなります。
中間がありません。

愛し合っていたのに、突然恋人を罵ったり罵倒したりします。
かと思えば、急に自分の非を詫びて甘い関係を取り戻そうとしたりします。

感情が激しく変動するので、恋人は散々振り回されることになります。
こうなると、恋愛は波乱万丈のドラマになってきます。

このドラマのエネルギー源は、見捨てる親と受け入れてくれる親の、その両極端がダイナミックに分裂したままで統合されていない点にあります。

理想と苦痛に満ちた現実との分離が極端にひどくなりますと、一時的に精神が分裂したようになります。

堪え難い苦痛に満ちた自分を否定し、これは私ではないと自分自身から切り離してしまうのですが、いろいろと無理があるために、心の中で神と悪魔の妄想が飛び交いはじめます。

誰もいないはずの隣りの部屋から、自分を馬鹿にする声が聞こえてきたりします。

続き



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